小林製薬の紅麹製造工場では、床にこぼれた原料を再利用していたことが明らかになった。これは食品衛生の常識から外れる問題行為と言えるだろう。
紅麹原料製造の小林製薬工場、床にこぼれた材料使って加工も…「食品用で健康被害とは関係ない」
では実際、床に落ちた食品はどれくらい汚染されるのだろうか?、子供の頃、3秒ルールというのを信じていなかっただろうか?、うっかり床に落とした飴でも3秒以内に拾えば食べられるというやつだ。
実は真面目に研究した論文がある。日本では3秒ルールだが、米国では5秒ルール、その他の国々でも似たようなルールが存在する。論文によれば食品が床に落ちてすぐの段階で既に大量の細菌が付着することが判明している。つまり、落ちてからの時間がどんなに短くても、落としてしまえば既に食品が汚染されている可能性があるというわけだ。
食べ物の「3秒ルール」はOK? 科学的に検証すると
むしろ、問題なのは時間ではなく、食品の水分量や表面の材質など、細菌の付着しやすさに影響する要因の方が重要とされる。例えば水分の多いスイカなどは、パンやグミなどの乾燥した食品に比べ、より多くの細菌が付着するという。また、じゅうたんの表面では細菌の伝播が少ないことも分かっている。
3秒ルールや5秒ルールは、何らかの科学的根拠に基づくものではなく、単なる常識や慣習に過ぎない。だが厳格な食品の衛生管理にはそんな都市伝説的な慣習は通用しないのは言うまでもない。小林製薬の従業員もまさか3秒ルールを信じで再利用したわけではないだろう。だが、実際それ以上の配慮が必要なのは言うまでもない。どの工程でこの事故が発生したのか不明だが、少なくとも紅麹という糸状菌を扱っている生産ラインである以上、床に溢れた紅麹をタンクに戻すということは、床の雑菌類で汚染されコンタミが発生する可能性はゼロではない。
今回の問題を受けて、小林製薬には、過去の製造工程の詳細な公開と、抜本的な衛生管理の改善が求められる。サプリメントや食品添加物を製造する以上「3秒ルール」では済まされない、食品衛生の重要性を、同社は今こそ真剣に考える必要がある。