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薬局DXニュース解説

2024.03.21

OTC医薬品自販機の難しさ

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島しょ部等の薬局・薬剤師不足への対応のため愛媛県今治市と高知県黒潮町が自動販売機でのOTC医薬品販売を提案している。関連して、2022年に東京で行われた実証実験の様子からOTC医薬品自動販売機について考察する。

2022年6月撮影 郡司昇at新宿駅構内

2022年6月撮影 郡司昇at新宿駅構内

引用元: 2022年6月撮影 郡司昇at新宿駅構内

愛媛県今治市と高知県黒潮町が連名で
OTC薬の自動販売機を規制・制度改革で提案
2024/03/11
記事は「島しょ部等の薬局・薬剤師不足への対応のため、薬剤師等による遠隔での説明・指導のもと、自動販売機でのOTC医薬品の販売を可能とする」という提案がされたというものです。

関連して、筆者の自販機での医薬品購入経験からの考察を記載します。
2022年5月31日にJ R新宿駅構内に日本初のOTC医薬品自動販売機が設置されました。
JR東日本の駅ナカ事業会社JR東日本クロスステーションが運営するドラッグストアEki RESQ新宿南口店が設置したものです。
これは、大正製薬が“新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)”に基づいて申請した「駅改札内における OTC 販売機を用いた一般用医薬品販売の実証」に関する新技術等実証計画について厚生労働大臣及び経済産業大臣より認定を取得して行われている実証実験でした。
筆者はOTC医薬品自動販売機が稼働して1週間経ったタイミングで実際に購入してみた。設置数日は注目度が異常値になるからです。
自販機に在庫されている薬は30品目なので、選ぶのに苦になる種類数ではないが、あえて「症状から選ぶ」の機能から選びました。「頭」「鼻・のど」「おなか・おしり」「目・口・歯」「肩・腰」「皮膚」「女性」「その他」の8種類がありました。「おなか・おしり」をタッチしたところ「胃もたれ・胸やけ」「胃痛・腹痛」「はきけ」「整腸」「下痢」「便秘」「痔」の7種類の選択肢があらわれました。ここで「下痢」の選択肢を選ぶと「ビオフェルミン止瀉薬」「ピタリット」「新ビオフェルミンS錠」の3種類が表示された。
「ビオフェルミン止瀉薬」を選択したところ、添付文書が表示されて確認を求められるという医薬品ネット通販(特定販売)と同様の流れであった。ネット通販と異なるのは、決済の前に通路を隔てた場所の薬店にいる薬剤師又は登録販売者によるチェックが行われるというところです。ネット販売の流れで購入する最後に対面確認代わりの(自販機上部についたカメラによる)画像確認があるという印象でした。
購入前に自販機から少し離れたところから10分間観察したところ、通過370人のうち、目を向けて数秒以上見た人は23人でした。そのうち立ち止まって見た人は3人、画面を触る人は一人もいなかった。人の歩くスピードが早い超繁華街駅構内であるとはいえ、これだけ目につくはずの大型自販機に目を向ける人がいかに少ないかが10分間のリサーチでわかったのです。

自販機販売する医薬品に関しては、すぐに必要なものがテーマになるでしょう。その時の使い切りもしくは1日分の小容量が適切であるわけです。また、そもそも飲料やパン・菓子等と比べて商品回転率が低いのが医薬品です。新宿駅のケースで自動販売機に向くかという点では疑問が残りました。
事業性は低いですが、「島しょ部等の薬局・薬剤師不足への対応のため」ということであれば、配置薬的な品揃えで規制緩和するというのも一つの手段と考えられます。
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