コンサルティング会社の日本総合研究所は、内部で組織した「持続可能で質の高い医療提供体制構築に向けた研究チーム」を中心に「薬局薬剤師・保険薬局の価値向上に向けた提言」をまとめ、公表した。
増大の一途を辿る国民医療費を削減することが各所でうたわれている中、削減ありきではなく限られた医療資源を効率的・効果的に活用するシステムへの転換を提唱するのが主旨となっている。
提言は大きく4つの項目に分けて構成されている。
[提言①] 薬局薬剤師の機能・役割や価値の明確化
医師や病院薬剤師、看護師等との多職種連携、服薬指導、健康指導、患者教育・フォローアップを中心とする患者指導をはじめ、各種疾患に対するケアなど、薬局薬剤師がプライマリ・ケアの一員として医師を中心とする多職種からのタスクシフトを視野に、新たな機能実装に向けた役割や価値を明確化する。
[提言②] 薬局薬剤師の機能・薬局薬剤師・保険薬局の価値向上に向けた提言_日本総研役割や価値の浸透
提言①で言及した薬局薬剤師の機能・役割や価値が明確になっていないことに加え、その実態が把握されていないことも課題であるとし、薬局薬剤師・保険薬局のKPIを設定し、計測・改善を行っていくことを提言。
[提言③] プライマリ・ケアチームや国民からの薬局薬剤師の認知向上
現状、プライマリ・ケアチームや国民から、薬局薬剤師や保険薬局がどのような存在であり、何をしてくれるのか、何ができるのか、その認知度は低い。価値のある薬局薬剤師の機能・役割を浸透させるための広報活動を実施することへの期待。
[提言④] 薬局薬剤師が機能・役割を発揮するための保険薬局のあり方
健康サポート薬局や地域連携薬局・専門医療機関連携薬局に求められる機能・役割が示されているが、そのために薬局薬剤師が機能・役割を十分に発揮するためには、保険薬局の機能・役割に変革が求められる。保険薬局が薬局薬剤師へ適切に投資し、収益性を改善していくことを提言。
この提言をまとめるにあたり、文献調査、意志を対象とするアンケート調査とともに、有識者によって組織された「薬局価値向上委員会」での議論も・検討も行なわれている。同委員会は大阪医科薬科大学薬学部の恩田光子教授を委員長とし、保険薬局企業から緒方直美氏(さくら薬局グループ)、下川友香理氏(総合メディカル株式会社)、山下貴弘氏(株式会社ファーマシィ)が参加しており、この提言の妥当性、実現可能性を裏付ける助言を行なっている。
表題の通り、薬局薬剤師が「価値向上」に至るための現状の整理とクリアすべき課題がまとめられているので、ぜひ一読をお薦めしたい。
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