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薬局DXニュース解説

2025.06.04

医学界に激震!米保健長官が大手ジャーナルへの論文投稿禁止を示唆―製薬会社との癒着を批判

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ロバート・F・ケネディJr.米保健福祉省(HHS)長官は、世界で最も影響力のある医学雑誌の一部を「腐敗している」と非難し、政府科学者による論文投稿を禁止する可能性を示唆しました。製薬会社との不適切な関係を問題視するこの動きは、医学研究のあり方に大きな波紋を広げています。

三大医学誌を「腐敗」と断罪
ケネディ長官は5月27日に配信されたポッドキャスト「Ultimate Human」において、ニューイングランド医学誌(NEJM)、アメリカ医師会雑誌(JAMA)、ランセット誌の三つの世界的権威を持つ医学誌を「腐敗している」と厳しく批判した。これらの雑誌が製薬会社の資金提供を受けた研究や、同社の承認を得た研究のみを掲載していると主張している。
「これらの雑誌が大幅に変化しない限り、国立衛生研究所(NIH)の科学者による発表を停止し、独自の学術誌を組織内で創設する」との強硬な姿勢を示した。NIHは世界最大規模の健康研究資金提供機関として知られており、この決定が実行されれば医学研究の発表体系に根本的な変化をもたらす可能性がある。

製薬業界の影響力への懸念が背景
この発言の背景には、ケネディ長官が主導した重要な報告書の発表がある。ホワイトハウスが最近公表したこの報告書では、過剰処方された薬剤が児童の慢性疾患増加の要因となっている可能性が指摘されている。報告書は、製薬業界からの影響力と、異議を唱えることへの恐怖感が医師や科学者を慢性疾患の原因究明から遠ざけていると示唆している。
さらに、JAMAとNEJMの両誌が最近、司法省から党派性に関する調査書簡を受け取っているという事実も、この発言のタイミングと無関係ではないと考えられる。

学術の自由との矛盾
興味深いことに、ケネディ長官の立場は、彼が任命したNIH所長のジェイ・バタチャリヤ氏の見解と対照的である。バタチャリヤ氏は最近の取材で「上司が反対しても論文を発表できることが学術の自由を意味する」と述べ、研究発表の自由を支持する姿勢を明確にしている。
この内部での意見の相違は、新政権内でも科学政策について統一見解が形成されていないことを示唆している。
過去の批判発言を根拠に
ケネディ長官は、主要医学誌の編集長らが自らの出版物の信頼性に疑問を呈した過去の発言を根拠として挙げている。具体的には、元NEJM編集長マーシア・アンジェル氏の2009年の「製薬会社との金銭的関係により、発表される臨床研究の多くを信じることはもはや不可能」という発言と、ランセット編集長リチャード・ホートン氏の2015年の科学研究の再現性に関する懸念表明を引用している。

新型コロナ禍での対立も影響
ケネディ長官は特にホートン氏について、新型コロナウイルスパンデミック期間中の対応を厳しく批判している。2020年にランセット誌がヒドロキシクロロキンと新型コロナ死亡率増加を関連付けた研究を撤回した件や、新型コロナの自然起源説への疑問を陰謀論と位置付けた科学者の書簡を掲載した件を問題視している。

独自学術誌の創設も視野
一方で、バタチャリヤ氏とFDA長官のマーティ・マカリー氏は最近、「公衆衛生学会誌」という新たな学術誌を立ち上げており、開かれた議論の促進を目指している。両氏は現在、同誌の編集委員会から休職している状況だ。

医療テック業界への波及効果
この政策転換が実現すれば、医療技術分野の研究開発にも大きな影響を与える可能性がある。NIHから資金提供を受ける多くの医療テック企業や研究機関が、研究成果の発表先を見直す必要に迫られるかもしれない。また、新たな学術誌の創設により、医療テック分野の研究評価基準や業界標準にも変化が生じる可能性がある。

現時点で、JAMA、NEJM、ランセット誌の各編集部、およびHHSからの詳細なコメントは得られていない。しかし、この発言が医学研究の発表システムに与える長期的影響は計り知れず、医療テック業界を含む関係者の動向が注目される。
科学的独立性と政治的影響力のバランスをどう保つかという根本的な問題が、今後の医療研究の方向性を左右することになりそうだ。
HHSのロバート・F・ケネディ・ジュニア長官は、製薬会社の影響を受けているとする研究機関に対するエスカレートする戦争の一環として、火曜日のポッドキャストで、政府の科学者が主要な医学雑誌に研究成果を発表するのを止めると脅した。
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