9月22日(土)・23日(日)と第57回日本薬剤師会学術大会が埼玉県で開催されました。
首都圏での参加ということもあり、多くの方が参加し盛り上がったのではと思います。
私も22日(土)だけではありますが、現地で参加をしてきました。
各演題は魅力的ですが、調剤機器メーカーが一同に集まる「展示」が学術大会の目的という方も多いのではないでしょうか。かく言う私もメイン会場よりも展示・ポスター発表が行われた「さいたまスーパーアリーナ」に入り浸っていた一人です。
色々な展示を見させて頂きましたが、やはり大きなテーマとして「薬局DX」が挙げられると思います。
特に薬歴においては各社「AI」を活用した新機能が多く発表されていました。
AIを活用することで薬歴を入力する時間を効率化し、対人業務に取り組む時間を増やすというのは、まさしく「トランスフォーメーション」だと思います。これまでは「薬歴を書く(入力)」ことが大きな業務でしたが、AIの活用で「服薬指導をする」(対人業務)と「書く(入力する)」(対物業務)ことを分離し、事務的作業の効率化へ繋げています。今後各社の更なるサービスの昇華に注目です。
薬歴のAI化が進むことは素晴らしいことですが、すこし気になるのが「薬歴」のあり方です。
これは令和6年度報酬改定でも問題提起されていましたが、改定の度に増える「記載項目」と、重箱の隅をつつく「個別指導」についてです。
令和6年度改定では、「単に患者から収集した情報等を全て記入するのではなく、その要点を記載することで差し支えない」と負担軽減につながる通則がでた一方で、「定型文を用いて画一的に記載するのではなく・・・」と効率化にくぎを打っています。結局、効率化できるのかできないのか。
薬剤服用歴は本来、よりよい医療提供を行うための共有ツールだったはずが、個別指導の恐怖による苦痛へと変わってしまっている薬剤師も多いのではないでしょうか。
対人業務に関する報酬が増加すれば、求められる記載項目が増え、負担は増えます。
薬歴のAI化により「書く」という業務は効率化できても、必要項目を埋めるための患者への質問量は増加し、記載される薬歴の文字数も増えていきます。質問攻めされる患者のストレスも増加します。
「薬歴に対する負荷が大きい」という課題の本質は、薬歴を入力する時間ではなく、薬歴に求められる「項目が多すぎるコト」、「個別指導の指摘が細かすぎること」なのではないでしょうか。
薬歴の報酬が「調剤管理料」なのか「服薬管理指導料」なのか、正直はっきりとしない報酬体系ではありますが、負担軽減を踏まえた上で、画一的な報酬ではなくグラデーションある報酬体系に変えることも検討の時期に来ているのではと感じます。
そうしなくては、「指導した内容」ではなく「記載した内容」に重きが置かれる薬剤師業務になるのではないでしょうか。
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