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薬局DXニュース解説

2024.03.25

プロトンポンプ阻害薬(PPI)のスイッチOTC化は実現するのか?

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日経DIの記事からの紹介である。
2024年3月12日に第27回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(厚生労働省)の中で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)等のスイッチOTC化についての議論が行われたと伝えている。

第27回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」が開催
PPIのスイッチOTC化の議論が再開
多くの構成委員がOTC化に前向きな意見
記事にある通り、プロトンポンプ阻害薬のスイッチOTC化については、2018年12月の同会議では否とされている。では、なぜ再検討されているのであろうか?

2018年にプロトンポンプ阻害薬がスイッチOTC化されなかった理由は以下の通りである。

まず、一つ目は、長期服用すると重篤な副作用の発現リスクが高まることや、がんの症状をマスクすることからOTC化にはそぐわないのではないかという理由がある。

そして、二つ目の理由として、スイッチOTCとして承認された医薬品は、特段の問題がなければ要指導医薬品からインターネット販売が可能な一般用医薬品へと移行されるが、インターネット販売において短期使用は担保できないのではないかといった理由が主に挙げられる。

2024年3月12日の会議では2018年に挙げられていた課題に対して、厚生労働省から以下の対策がなされていることを紹介したと伝えている。

・長期使用による副作用、がん症状のマスクは既知の情報であり、購入希望者の状態をなるべく客観的に確認する「胃のお悩み症状相談用ガイド」に基づき、販売者から使用者に短期使用を徹底することで、OTC化は十分可能である。

・一般用医薬品のインターネット販売を行う主力ドラッグストアの販売サイトには、第1類医薬品を注文する際の注意事項が明示されており、薬剤師による情報提供や適正使用の確認が行われることが明記されている。



消費者や患者さんの利便性を考えれば、プロトンポンプ阻害薬のOTC化は必要であると考えている。そして実現されれば、消費者や患者さんの健康や命を守る上で薬剤師の責任は大変重いものになる。

現状、医療用医薬品のPPIの漫然投与に対する医師への処方提案、疑義照会などの対応ですら十分ではないと個人的には考えている。

そして、OTCの対面・特定(インターネット)販売についてもこれまでに挙げられている問題点が改善しているかと言えば、十分ではないと言わざるを得ないと考えている。

今回の議論では、多くの構成員からPPIのOTC化に賛成する意見が多く挙がったということであるが、実現に向けては、薬剤師はもちろん消費者や患者さんの健康リテラシーを高める必要がある。そして、販売システムにICTを活用した販売後のフォローアップを組み込むなどの工夫を考慮すべきと考える。
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