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トップ・開発者インタビュー

2026.03.27

薬剤師の新たな役割と未来の薬局像~株式会社ユヤマ専務取締役 湯山正司専務取締役インタビュー

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2025年、日本の薬局業界は大きな転換点を迎えています。厚生労働省が推し進める「対物業務から対人業務へ」のシフトは、薬剤師の役割を根底から変えようとしています。調剤機器メーカーとして長きにわたり業界を支えてきた株式会社ユヤマは、この変革期をどのように捉え、どのようなソリューションで未来の薬局像を描いているのでしょうか。専務取締役の湯山正司氏に、同社のビジョン、調剤室の未来を変える「zero for pharmasist」戦略、そして制度化が迫る調剤外部委託への対応について伺いました。

湯山正司(ゆやま・まさし)
株式会社ユヤマ 専務取締役

2012年 関西大学商学部卒業後、NTN株式会社に入社。経営企画部門にて3年間勤務。2015年より株式会社湯山製作所にて営業・経理・システム開発を担当し、ビジネスソリューション部責任者を歴任。2023年より現職。製販一体の視点から医療機器業界の革新に取り組む。

変わらぬ経営姿勢:社会貢献と製販一体の強み

――事業内容と大切にしているビジョン・特徴について教えてください。

弊社は、主に調剤機器・調剤システムを薬局や病院の薬剤部向けに提供しています。加えて、クリニック向けの電子カルテ事業も展開しています。
弊社が最も大切にしているのは、「社会に貢献する」という姿勢です。そして、この社会貢献を医療の現場で実現するため、「医療現場において、薬を扱う方のパートナーとなる」ことをビジョンとして掲げています。
弊社の競争優位性の源泉は、親会社である湯山製作所との製販一体の体制にあります。製造ラインと開発部門を持つ製作所と、販売・サービスを行う販売部門が密接に連携することで、顧客のニーズを現場から迅速に聞き取り、または市場の未来を先取りして開発に反映させることが可能です。

薬剤師の働き方を変える「zero for Pharmacist」戦略

――ユヤマが推進されている「zero for Pharmacist」とは、どのようなコンセプトですか?

「zero for Pharmacist」は、調剤室の中における薬剤師作業をゼロにすることを大きな目標とした当社のソリューション・コンセプトです。
現状の薬局では、薬剤師が調剤室という「対物業務の場」に縛られ、「患者さんの前」という「対人業務の場」にいる時間がとれないという状況が生じています。この状況を打破しなければ、国が目指す対人業務の充実も、薬剤師の職能向上も実現しません。薬剤師が調剤室から解放され、本来注力すべき患者さんの健康を守る業務に集中できる環境を創出することが、このコンセプトの使命です。

――「zero for Pharmacist」の実現に向けて、具体的にどのような取り組みをされていますか?

このコンセプトの実現は、単に調剤機器を自動化する(機器の置き換え)だけでは不十分です。真の変革には、システムとの融合が不可欠です。
弊社が目指すのは、調剤室の外から指示を出せる仕組みです。薬剤師は、受付や服薬指導など患者さんとの対話の中で調剤の設計を行い、そのデータを調剤室の外から指示として送信します。調剤室の中では、薬剤師以外の方が機械を操作して調剤を並行して実行することで、薬剤師は患者さんと向き合いながら調剤を動かし、患者さんの待ち時間削減を両立させることが可能になります。
ただし、弊社の提案を一方的に押し付けるのではなく、個々の薬局の運用を深く理解し、納得しながら業務フローを変えていくという、お客様との協働の姿勢で実現を目指しています。

調剤外部委託へのフラットな対応と対人業務への貢献

――調剤の一部外部委託の制度化について、どのようなお考えをお持ちですか?

調剤の一部外部委託の制度化は、業界全体にとってリスクでもあり、チャンスでもあると認識しております。
受託薬局の規模は数店舗の受託から工場レベルまで幅広く想定されるため、それに合わせたソリューションを提供しなければいけません。もっと言えば、機器の大型化や機器間を繋ぐ自動搬送システムなどの新たな領域への対応も必要となり、今後は他社との連携も積極的に考えていく必要があります。これまでの「自社ですべてを開発する」精神は堅持しつつも、新たな領域では他社とのコラボレーションも選択肢とする方針です。

――今後の展望についてお聞かせください。

当面は「zero for Pharmacist」の推進に尽力しますが、その先、つまり薬剤師が対人業務にシフトした後の薬剤師の価値向上と医療貢献にも目を向けています。
調剤後の作業や薬の管理、さらに進んで患者さんが薬を服用するまでの状況を把握・管理できる環境が、現在の医療現場には不足しています。分包機という媒体を中心として、患者さんの服用状況の確認までソリューションを広げていくことを考えています。これは、医療費の削減(残薬問題の解消など)と患者さんの安心・安全に直結する、国が強く求める方向性でもあります。
この大きな課題解決に向けて、私たちメーカーがシステムやソリューションを通じて変革を推進していく必要があります。自社だけでなく他社とも協力しながら、業界全体として、日本の医療の未来を牽引していく所存です。

(取材実施 2025年9月)
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