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THE比較

2023.10.23

情報収集、何使う?

薬剤師業務を行う中で、医薬品情報に関する調べものをすることは日常茶飯事だと思いますが、みなさんは普段どんな情報源から情報収集していますか?添付文書、書籍、インターネット、MRさんや先輩薬剤師・・・。AIチャットボットに尋ねれば答えを得られる時代ですが、私たち薬剤師にとっては、いかに正確で、鮮度が高く、気軽に速やかに、安価に情報を得られるかが重要になります。

もっとも身近で、正確な情報と言えば、添付文書でしょう。しかし、当然ですがその医薬品の情報しかわかりませんので、当該医薬品以外の情報へのアクセスはできません。
書籍も身近な情報源ですが、やはり鮮度に問題があります。新しい医薬品の情報が掲載されていないだけではなく、昔の薬であっても発売から数年経って改定されることもありますので、最新情報であるかどうかの確認が必要になります。
インターネット上の情報は正確さが心配です。ブログ記事やSNSの情報はもとより、専門家のコラムであってもその筆者の主観が入っていますので、正確な客観的情報ではありません。一方で厚生労働省や製薬メーカーなどのWebサイトの信頼性は高いものの、必要な情報にたどり着くまでのページ遷移に時間がかかることがあります。

このように医薬品情報はさまざまなチャネルから入手できる一方で、そのチャネルに一長一短があり、調べものをする薬剤師からすると、どれを利用するか迷うことがあります。ようするに、情報源がたくさんあって、何が使い勝手が良くて、何が信頼できるかがわかりにくいということです。
特にインターネット上の医薬品情報サイトは種類が多いうえに、信頼性の幅やWebサイトの認知度などの問題があります。

薬剤師が使う医薬品情報源

まずは普段私たち薬剤師が使う医薬品情報源について確認しておきましょう。下表に情報収集のタイミング別に整理してみました。
厚生労働省発信情報と製薬企業発信情報は、発信されたら速やかに入手しなければならない情報ではあるものの、情報量が多いことやいつ発信されるかわからないことから、薬局の管理薬剤師や病院のDI担当薬剤師の頭を悩ませています。また紙媒体で提供されるものもありますが、必ずしもタイムリーではありません。
そのため今回は、「”発信されたら速やかに”入手する情報」を提供してくれるWebサービスを比較してみたいと思います。
まず、厚生労働省発信情報と製薬企業発信情報の内容について説明します。

厚生労働省発信情報と製薬企業発信情報とは?

厚生労働省発信情報には、安全対策情報、承認審査関連情報、医薬品関連通知などがあります。その中でも、安全対策情報である、緊急安全性情報(イエローレター)や安全性速報(ブルーレター)、回収情報は重要度が高いため、メール配信サービスなどを利用して速やかに情報を入手する必要があります。
製薬企業発信情報には、流通供給関連情報、包装関連情報、添付文書等改訂情報などがあります。近年、医薬品の出荷調整や販売中止が増えていますよね。これらの情報は通常、製薬企業のMRや医薬品卸業者のMSから直接連絡があります。しかし、連絡が遅れる場合や連絡が無い場合もあります。このようなお悩みを解決するため、これらの情報を提供してくれているサービスを比較してみました。

医薬品情報提供Webサービスの比較

厚生労働省と製薬企業からの情報を入手できるWebサービスを比較してみました。

アスヤクDIポータル

アスヤクDIポータルは、100社以上の製薬企業から通知されるDIを1ヵ所にまとめた業界初のDI電子提供ポータルサトです。WEB&メールにより毎日の業務に必要なDIを、漏れなく・手間なく・簡単にキャッチアップすることができます。
いずれのサービスも登録は必要ですが無料で利用できます。
厚生労働省発信情報を受け取れるサービスとしてはPMDAメディナビが有名ですね。PMDAメディナビは、診療報酬の加算の算定要件や留意事項も記載されるなど、唯一無二の特徴を持っています。一方で、PMDAメディナビは製薬企業発信情報には対応しておりませんので、製薬企業からの情報を受け取るには他のサービスを利用する必要があります。PMDAメディナビ以外のサービスからも厚生労働省発信情報を受け取ることができますが、緊急安全性情報や回収情報など、一部の重要な情報に限られていることには注意が必要です。
製薬企業発信情報を受け取れるサービスとしては、アスヤクDIポータルと医薬品卸業者運営サイトがあります。掲載されている情報はほぼ同じですが、アスヤクDIポータルはメール配信、検索機能、ブックマーク機能など、Webサイトとしての機能が充実しているため医薬品情報の収集においては使い勝手がいいでしょう。
厚生労働省や製薬企業から発信される医薬品情報を提供するWebサービスを比較してみましたが、今回扱わなかった情報源を含めるとたくさんの入手経路があることがわかります。つい自分にとってなじみ深い情報源を多用してしまいがちですが、情報収集の目的や情報源のメリット・デメリットを踏まえて、いろいろ使ってみることをおすすめします。使い慣れるまでに少し時間はかかるかもしれませんが、私たち薬剤師にとって医薬品情報は欠かせないものですから、使いこなせるようにしておきたいものですね。
城西国際大学 臨床薬学研究室 助教 溝口 優
PDX編集部 富澤 崇
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