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トップ・開発者インタビュー

2025.12.05

「相談できる安心感」を軸に、業界の未来を共創する ~ 株式会社ネグジット総研 美和啓樹代表インタビュー

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薬局DXを牽引する主要ベンダー企業のトップにインタビューし、経営理念、製品・サービスの魅力、開発姿勢などに迫る本企画。今回は、株式会社ネグジット総研で代表取締役社長を務める美和啓樹氏にお話を伺います。

美和 啓樹(みわ・けいじゅ)
株式会社ネグジット総研 代表取締役社長

異業種から20代で医科・薬局向けレセコン販売会社に転職し、レセコン営業のキャリアをスタート。2000年にレセコン販売店を起業し、2010年に株式会社ネグジット総研と合併。2015年より同社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。

目の前のお客様を大事にしながら「その先」へ進化し続ける

――株式会社ネグジット総研はどのような会社ですか。

当社は、親会社である東邦ホールディングス株式会社のグループスローガン「すべては健康を願う人々のために」の下、調剤薬局を対象とした事業を中心に展開しています。1977年の創業時は会計事務所としてのスタートでしたが、時代とともに変化・成長し、現在の事業はレセコンや電子薬歴システムの開発・販売、経営コンサルティング、M&A仲介など多岐にわたります。社名の「ネグジット」は「NEXT IT」を元にした造語です。薬局市場の急速な変化や顧客ニーズの多様化に伴い、新たな事業にも挑戦しており、常に「次に来るもの(NEXT IT)」を追求しながら進化を続けています。

――美和社長のこれまでの経歴や、代表として大切にしていることを教えてください。

はじめは自動車の営業マンをしていましたが、20代で転職し、レセコン営業に従事することになりました。当時から意識していたのが、営業活動に励むだけでなく、操作指導や機器のサポートなどのニーズにワンストップでお応えするスタイル。その後、2000年に立ち上げたレセコン販売店が2010年にネグジット総研と合併し、2015年より代表取締役社長に就任して現在に至ります。
社長として大切にしている基本方針は、凡事徹底。新しいことに挑戦する前提として、目の前のお客様に喜んでいただけるプロダクトやサービスを常に心がけ、ステークホルダーにとって魅力ある会社であり続けることが最も大事だと思っています。また、多様なバックボーンを持つ社員の自主性を尊重し、それぞれが持つ視点を生かせる環境づくりも意識しています。私自身、営業マン時代に「駒」として動かされるもどかしさを感じたことがありました。だからこそ、自社の社員には主体的に行動し、自由にチャレンジできる機会を提供したいのです。
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小回りが利く組織の利点を生かし「現場の声」を迅速に反映

――主力製品である「調剤くんV8」の特徴についてお聞かせください。

「調剤くんV8」は、シリーズ8代目となるハイブリッド型の薬局業務支援システムです。マニュアルなしでも操作できるほどのシンプルさが特徴で、電子薬歴はオンプレミス型とクラウド型から選択可能です。オンプレミス環境でもグループ内の他店舗と患者さんの基本情報や薬歴を共有できる機能を搭載し、さらに人員配置の効率化を目的に、本部から代理入力を行える機能も備えています。インバウンド需要に対応し、日本語だけでなく英語や中国語での薬剤情報提供文書の発行も可能です。

――初代「調剤くん」は1987年リリースとのことですが、どのような経緯で開発されたのですか。

当社はもともと、医療を専門とした会計事務所からスタートしました。多くの診療所をクライアントとして抱えており、医薬分業黎明期において分業を志向するクライアントから廉価なレセコンを求める声にこたえるため、社内で会計システムを手掛けていた開発チームが、パソコンで動作するレセプトコンピュータの開発に新規事業として着手しました。当時の薬局向けレセコンは専用機(オフコン)が主流でしたが、当社の製品はPC98シリーズで動作し、より手頃な価格で導入できるもので大変話題となりました。

――「調剤くん」のユーザーには、どのような層が多いのでしょうか。

最も多いのは5店舗までの規模の薬局ですが、100店舗未満の調剤チェーンやドラッグストア、500店舗以上の大規模チェーンでの利用も広がっています。システム改修により「他店舗との患者、薬歴情報共有」や「本部での処方箋代理入力」などを可能にしたことで、ドラッグストアや中堅調剤薬局チェーンのお客様が増えてきたと考えています。一方で、初期の「調剤くん」から2世代、3世代にわたって長くご利用いただいているお客様も少なくありません。

――具体的に、製品のどのような点が評価されているとお考えですか。

機能面にはもちろん自信を持っていますが、それ以上に「安心感」が当社の強みだと考えています。お客様ごとに営業スタッフが専任担当制で対応し、操作サポート、調剤報酬関連の相談、機器トラブルへの対応までワンストップでサポートできる点が評価されているのではないでしょうか。また、中小企業ならではのフットワークの軽さを生かし、システムトラブルにも迅速に対応して、現場がスムーズに業務を続けられるよう尽力しています。「調剤くん」の販売、サポートは当社直販だけでなく、全国に販売店がありますので、薬局のお近くの販売店でも同様のサポートが受けられます。
私たちはシステムを「作る」ことはできますが、「使う」ことはできません。だからこそ現場の声を積極的に取り入れ、真に使いやすいシステムを追求し続ける姿勢が欠かせないと考えます。現場の要望をさらにスピーディーに反映させるため、以前は管理職クラスに限られていた改修権限を、中堅・マネージャークラスにまで拡大したところです。

「身近なパートナー」として、薬局経営を総合的に支えたい

――調剤薬局市場の未来をどのように展望していますか。

調剤薬局が増え始めてから約30年が経過し、創業者から次世代への世代交代が進んでいます。M&Aも活発になり、業界は「大手チェーン」と「個人経営」の二極化がさらに進むでしょう。当社のM&A仲介事業を見ると、20~30代の薬剤師が独立を希望するケースが増えているようです。「患者さんとの関係づくりを大切にしたい」など、思いある若手が多数いることは頼もしいですね。大手チェーンで閉局予定の店舗を、独立を目指す薬剤師が引き継ぐケースも増えており、業界にはまだまだ大きな可能性があると感じています。

――今後の開発目標についてお聞かせください。

生成AIによる電子薬歴の作成支援システムや、薬剤師と患者さんをつなぐ仕組みを積極的に搭載していく予定で、新たなデータベースの独自開発も進行中です。ただし、どれだけ機能が充実しても、お客様が安心して使えなければ意味がありません。今後もさらにサポート体制を強化し、調剤薬局の皆様がいつでも快適にお使いいただけるようなシステム・環境づくりに努めていきます。

――最後に、薬局関係者の皆様にメッセージをお願いします。

当社ではシステム提供にとどまらず、薬局経営や調剤報酬改定への対応に関するご相談、事業承継などのコンサルティングも請け負っています。「こんなことを聞いてもいいのかな」と迷われるようなことでも、気軽にお声がけください。また、当社の公式YouTubeチャンネル「薬局経営支援チャンネル」では、薬局経営に役立つ情報を発信中です。お客様にとって安心して相談できる身近なパートナーであり、業界の未来を共に創り上げていけるような存在となるべく、これからもさまざまな取り組みに挑戦し続けます。

(取材実施:2025年2月)
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